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なぐりがき

なぐりがきです。過去の舞台と旅の感想を取りまとめ中。

私自身の、女の苦しみばかりを想う危うさ ー 20210821 DULL-COLORED POP 第23回本公演『丘の上、ねむのき産婦人科』

ダルカラの本公演『丘の上、ねむのき産婦人科』を観た。

2021年8月21日 18:00 <Aキャスト>

下北沢ザ・スズナリ

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 ※ちょっと写真の撮り方が雑すぎた・・・

「自分と異なる性/生を想像する」というテーマで、産婦人科医院をを基点に6組のカップルのエピソードが展開される。男女入替えA/Bキャストで上演。今回観たのは女性が女性、男性が男性を演じるAキャスト(後日劇場が配信でBも観る予定)。

 

妊娠・出産がテーマとなるこの作品でありながら、客席に男性と思われるお客様がたくさんいたことが、心なしかほっとした。どんなにこれらをテーマにした良作があったって、それが女性だけの間でシェアされたのでは意味ないですもの。(私は女性です。)

…とそんなこと言っておきながら、私にとって「妊娠・出産」は自分の問題にはなっていないのだと思う。私は未婚で妊娠経験もなければ、(ありがたいことに)「結婚しろ子ども産め」みたいな話も受けたことがない。すべてのエピソードがそれぞれに苦しかったのだが、でもどこか自分事として落ちてはこなかったのは、私はたまたまこれまで向き合う必要に迫られなかったからなのかな。

そして思わずハッとしてしまったことが、私がどのエピソードについても「なぜ女性の苦しみが男性に伝わらないのか」という苦しさもどかしさを覚えていたこと。それってかなり危うい感覚なんじゃないか。「妊娠・出産に纏わる問題で苦しむのは女だ」という偏ったものを持っているのではないかと。だから男女逆転キャストという試みをしているのだと思うし、私みたいなやつがBを観ねばなんだな…という気持ちに今なっている。私の母が父方家族の「女はこうあるべき」に悩まされてたのを知っているせいなのかもしれない。どうしても女の苦しみばかりに反応してしまう自分がいる。

あと、とっても細かい話ですが、あのすりガラスの窓、めちゃくちゃ病院にありそうなやつで、再現性高くて驚いた。あーこれこれってなるやつ。

 

ここからは本編と関係ないですが、
ここ最近観た舞台の中でいちばん客席が静かで、開演前も安心していられた。
終演後の規制退場も、まず急いで出なきゃいけない人を優先してから列ごと退場という心配り。
パンフの文章量が多くて最高。まだ全部読めてないのでこれからゆっくり読みます。
私はスタッフ含めた全クレジットと、テーマに関する専門家などの寄稿文が目的でほぼ全てのパンフを買うのですが、実際は無駄にでっかい写真ばかりで読み応え全くなしなものが多い(世の中は推しの写真目的で買う人の方が多いんですかね・・・)。
あと、李そじんさんのツヤ肌に憧れる・・・((そこかよ

 

細かいエピソードの感想はBを観てからまたあげるはず。

 

www.dcpop.org

作・演出:谷賢一(DULL-COLORED POP)

出演

東谷英人 、内田倭史(劇団スポーツ)、大内彩加、倉橋愛実、塚越健一、
宮地洸成(マチルダアパルトマン)(以上DULL-COLORED POP)、
岸田研二、木下祐子、冨永さくら、湯舟すぴか、李そじん、渡邊りょう


脚本監修:北村紗衣 医療監修:稲田美紀(医師)
美術:土岐研一 照明:松本大介 音響:清水麻理子 衣裳:及川千春 
舞台監督:竹井祐樹(StageDoctor Co.Ltd.)配信映像監督:松澤延拓、神之門隆広
照明操作:和田東史子 舞台監督助手:澤田万里子 
宣伝美術:平崎絵理  
制作助手:佐野七海、柿木初美(東京公演)、竹内桃子(大阪公演) 
制作:小野塚 央
助成:芸術文化振興基金 協力:城崎国際アートセンター(豊岡市) 
主催:合同会社 DULL-COLORED POP