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なぐりがき

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忠実な舞台化はすごいのだが… ー 新国立劇場「東京ゴッドファーザーズ」

新国で「東京ゴッドファーザーズ」を観た。同アニメの舞台化。

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新国立劇場2020/2021シリーズ
人を思うちから 其の弐
東京ゴッドファーザーズ

2021年5月18日(火)19:00開演

新国立劇場 小劇場

原作:今敏
上演台本:土屋理敬
演出:藤田俊太郎
出演:松岡昌宏マキタスポーツ、夏子 / 春海四方、大石継太、新川將人、池田有希子、杉村誠子、周本絵梨香、阿岐之将一、玲央バルトナーwww.nntt.jac.go.jp

セットはただ長い黒の長方形舞台面だけがある囲み舞台(1階は前後、2階が左右で四方を囲むイメージ)。時折、差し込める柵を役者が持ってきてエリアを作ったり、センターにあるせり(というか照明付イントレ?)を上下させ、セットチェンジや高低差のある空間を作りながら進行され、吊モノの半透明なゴミ袋に照明をあてることで、シーンの都市の印象的なスポットを映し出す。

基本は原作アニメに忠実。ただ一応コロナ禍の現在設定で、ソーシャルディスタンスとかフェイスシールドなど2020設定だとわかる要素が所々。これが良い効果をもたらしていたのかは、イマイチわからなかった。

あのアニメを舞台化するだけでもすごいと思う…なのだが、なんせ転換が多い。前記したエリア分けと部分暗転によって、場面進行中の一部転換や2つの場面を同時進行させるなど、テンポ良く進行していったのは間違いない。特に  幸子が自殺を図ろうとするシーンと夫の部屋でのやりとりが上下で同時進行したところなんかは、とても効果的だった。ただどうしても原作に忠実にしようとする必要からか、駆け足で、物語の盛り上がりのカーブ、緩急があまりなかった。物語が少々ネガティブな意味で、あっという間に過ぎ去ってしまった。

 

松岡昌宏はとにかく舞台で映えますね。美しかった。そして生で聴いても声が良い。もはや映像でなく舞台役者として生きて欲しいです。ミユキ役の夏子も初見だったのですが、堂々としてとても良かったです。

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