オタク世界は楽しいよね ー 20210602夜 ミュージカル「17 AGAIN」
2021年6月2日(水)18:00
2009年にアメリカで制作された映画(知らなかった)のミュージカル版。ミュージカル版自体は日本が初演らしい。
離婚の危機にある35歳のマイクが、バスケットボールで大活躍していた真っ最中に妊娠したガールフレンドと家族になる選択をした17歳の自分にに、突然戻ってしまう。それを機にもう一度人生をやり直すべく、家族関係の修復に奮闘する話。
演目的に好みでない気がしながら、でも谷演出なところが気になって、B席3階最後列センターエリアで観劇。
◇初めてのブリリア
席もさることながら、何言ってるかさーっぱりわからん…。音響が悪いのか劇場が悪いのかは分からぬ。視界も、たまたま前が空席だったので良かったものの、居たら果たして見えたのか…。通路も異様に狭いし、新劇場だというのにどうしたらこうなるんだまったく。。。
◇歌やお芝居のこと
竹内マイクは初ミュージカルとは思えない歌いっぷり(だからといって、だれでもかれでも初ミュージカルでいきなり主役やらすな…とは思う。彼が特別すごいだけやで…)。35歳のもっさり感ある中年パパと17歳のスポーツ青年の演じ分けもお見事。(映画は別俳優がやってるらしい。)ソニンスカーレットとのシーンもとても微笑ましく、良いカップルであった。2人で踊るシーンとか、お手紙のシーンとか、歌唱だけでなく丁寧なお芝居も、とても好印象。
ただ、全体的な歌のレベルは正直首を傾げてしまった。良きと思ったのはチェルシー(アレックスのガールフレンド)とバスケコーチの人だったのですけど、それぞれ町屋美咲さんと角川裕明さんでした。レミゼ俳優はつよい。
◇構成とか演出とか
正直1幕はダルいなぁと思ってしまったのだが、1幕ラストから急にとてつもなく面白くなった。
マイクの親友ネッド(エハラマサヒロ)とマスターソン校長(水夏希)のオタク意気投合シーン。大胆に動く照明の中に、アンサンブルが様々なキャラクターに扮して出てきて、現実離れした夢空間が立ち上がるところが素晴らしい。マイクが突然17歳に戻ってしまう以外は特にファンタジーや非現実要素がない中で、まるで映画の中に入り込んだような空間に引き込む演出はとても高揚感あって楽しかった。
ペンライト演出はやっぱり難しいなあと思う。もうちょっとハコ小さければ、試合を応援する流れで共にペンライトを振る今回の使い方もなかなか効果出たかもしれないですが。
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キャスト
竹内涼真
ソニン
エハラマサヒロ
桜井日奈子
福澤希空(WATWING)
有澤樟太郎
水 夏希
角川裕明、安田カナ、大原研二
岡田治己、小原悠輝、鯨井未呼斗、長澤仙明、松谷 嵐、松村桜李
熊澤沙穂、坂口杏奈、佐藤彩香、中西彩加、町屋美咲、森 莉那
スタッフ
脚本:マルコ・ぺネット
作曲・作詞:アラン・ザッカリー&マイケル・ウェイナー
翻訳・演出:谷 賢一
訳詞:高橋亜子
音楽監督:長谷川雅大
美術:土岐研一
照明:原田 保
音響:山本浩一
衣裳:及川千春
ヘアメイク:宮内宏明
歌唱指導:林 絵理
振付:AKIHITO
稽古ピアノ:亜久里夏代
演出助手:河合範子
舞台監督:幸光順平
主催:ホリプロ キョードーファクトリー WOWOW
企画制作:ホリプロ
アンサンブルってむずかしい。ー 20210524 プレ4日目「レ・ミゼラブル」
レミゼ2021 プレビュー4日目
2021年5月24日(月)
初めましてなプリンシパルたち。
目玉は六角テナかしら。
声質や風貌、醸し出す雰囲気が他の3人と明らかに違う。下劣な世界の人、黒黒しさがヒシヒシ伝わる。道化要素は少なめにしているのかまだ慣れていないだけなのか。個人的にはこのままで良い気がするけれども。ひとつの正しいキャラ形成なのに、(あまり昔のことは分からないが)なぜ今まで現れなかったのか。歌はまあ、想定の範囲内で台詞寄せ。主に妻とハモる時に、音程のズレがわかってしまうのが、どうしても残念。裏切りのワルツとか下水道とか、音程めっちゃ難しいんだろうなぁってのは、素人ながら何となくわかる。現地スタッフもオーディションに立会うレミゼなので、この音楽の精度を海外スタッフたちがOK出して採用したのが意外ではあった。
樹里マダム。
朴マダムに代わるスタイリッシュ枠?でも朴さんよりずっと陽キャかな。華がある。妻にしたくなる。世渡り上手だな、ってのが良く伝わる。モリクミさんなどのような貫禄はないけど、精確かつ鋭利な歌声にパワーがあって、とても楽しく観られるマダムテナでした。
敷村コゼット。
芯が強い。利発的で、割と現代人に見える。これが令和のコゼット像?(←知らんけど!!でも半分くらい当たってる気もする…。)2019に観た御三方と比較すれば、凛とした雰囲気はあまりない。バルジャンと対決を始めることもできる、それこそ濱田めぐみ(!!)から産まれてきたコゼットなのでは。体格さえもう少し良ければ本格的に対決が始まってしまいそうなので、小柄で良かった~などと思ってしまった。
全然関係ないけど、エリザベートの「Wie Du」~「So wie man plant und denkt」を演ってみてほしい…!!
生田エポ
元々コゼットにしては少年声だなと思っていた節があり、観る前は期待と不安が半々。意見割れそうですけど、想定の3倍は良かった。テレビで歌唱披露していた時よりもずっとずっと好印象。前回の屋比久エポと演技のキャラクターは似ている気がしている。オンマイオウンに感情の変化がもっと乗ってくれると良いな~と思うので、今後に期待。そしてエピローグ、ここだけは「コゼット?えっコゼットと死んだコゼット??」とか有り得ぬことを考えてしまった。
佐藤バルジャン
"なんていうことを<したのだ!!"って歌い回すバルジャン初めて聴いた。元々歌上手さんだったが、前回観た時より、動きながらの歌が更に安定するようになったのが良き。Bring him home の高音に厚みがあって、本領発揮されている感じ。
とにかく幕が開いて良かった…20210521「レ・ミゼラブル」プレ初日
2年に1回のお祭り、レミの季節がやってきた。
2021年5月21日(金)
「レ・ミゼラブル」帝国劇場
いつまでもキャストが解禁されない時は、もしかしてコンサート版にでも変更するのかなって思ったし、いざ解禁されても雲行き怪しくなるし、ヒヤヒヤしていたが、どうにか今年も幕が開いてくれて、本当に良かった。オープニングが終わったあと「les miserables」が映し出された時の拍手は、観客のそんな思いが強く強く込められていたような気がする。熱い客席だった。
福井バルジャン。こんなに感情的なバルジャンだったっけ…と。前回観た時とあまりに印象が違った。舞台後方に下がって十字架見るところ、鞄を「ガンっ」て落とした時の燭台の音が脳裏に焼き付いている。あと「逃げたー」のハイトーン聴けてテンション上がりました。
ファンティーヌ、冒頭の前奏が長くなっていた。旧演出寄りになったのかな。その前にファクトリーガールが「ごきげんよう」と憎たらしく声を掛け去って行く演出が追加されていた…これはグサグサくる…。初の宇山ファクトリーガールは、小柄でちょっと少年みたい。
波止場のシーン。松岡マダム、初めて拝見した方だが、このままマダムテナできそうなくらい良い存在感と声だった。まだ私がレミ観るようになる前に出ていたらしい。
宿屋の最後が演出変更。酒を吹かない。さすがにコロナだからやめたのかな…。あと、肩車じゃなくて、長椅子にのるだけになっていた。安定の駒田森公美ペア。
一気にバケモノになってたのが彩春コゼット。登場シーンあれだけじゃ勿体ない、歌唱力オバケになっていた。その分全体的には強いコゼットになったけど、プリュメ街で登場するところピュアな感じもよりオープンになってて、可愛かった…。
内藤みりんぼしマリウスは愛されお芝居が多くて見応えがあるなー。でも2017から徐々に大人になっているのもわかる。ゆえに後半が余計つらくなる。
小野田アンジョは黒髪だった?ゆえに前回より多少は幼く見えたんだけど、それでもつよそう。歌は言わずもがな。給仕さんの時は一緒に手を叩いてた。
そしてやっぱり川口ジャベが好きだなー。Starsも良いのだけれど、それ以上に自殺シーンの説得力に引き寄せられるんだろうなと、今更気付いた。
ちょーっとだけ気になったのが、熱入りすぎてハーモニーに若干の乱れを感じたこと。もっと下手な舞台はいくらでもあるので、そもそもレベルの高いレミゼ基準でのお話だけど。民衆の歌とTurningかな。
これもシェイクスピアなんですね。 ― 彩の国シェイクスピア・シリーズ第37弾「終わりよければすべてよし」
さい芸シェイクスピアラスト作品を観た。
このシリーズは、「尺には尺を」から観始めた(というか、その頃=大学生中盤からやっと舞台へのお金が捻出できるようになった)のだが、一部中止で「ヘンリー八世」は見損ね、「ジョン王」は全て中止になってしまったので、全然終わり良くないよ!!!という気持ちではある。コロナめ。
戯曲の一部すら読んだことがなく、そのまま全く予備知識を入れずに観た。
2021年5月19日(水)18:30開演 彩の国さいたま芸術劇場
作:W. シェイクスピア
翻訳:松岡和子
演出:吉田鋼太郎(彩の国シェイクスピア・シリーズ芸術監督)
バートラム:藤原竜也
ヘレン:石原さとみ
デュメイン兄弟:溝端淳平
ラフュー:正名僕蔵
ダイアナ:山谷花純
デュメイン兄弟:河内大和
ルシヨン伯爵夫人:宮本裕子
パローレス:横田栄司
フランス王:吉田鋼太郎
廣田高志 原慎一郎 佐々木誠
橋本好弘 鈴木彰紀* 堀源起*
長谷川祐之 齋藤慎平 山田美波
坂田周子 沢海陽子
主催:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団
制作:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団/ホリプロ
企画:彩の国さいたま芸術劇場シェイクスピア企画委員会
一面に赤い彼岸花。センターに1本の大きな動線、そこから横に数本道がはられている。斜め舞台ではないが段差があって、奥にいくほど少々高い。動線に置かれる大道具たちと吊りパネルでシーン変化が表される。
そもそもなんでバートラムが強制結婚させられてるのかわからず、とはいえバートラムもヘレナとの結婚をあそこまで拒む理由もわからぬし、一方ヘレナがこんなにクズなバートラムを諦めないのもよく分からぬ。
これで「終わりよければすべてよし」って終わるのか?はっ?って思いながら見続けていたが、これはヘレナの台詞だった。なるほど。。。
石原ヘレナの頑なに婚姻関係を守り通す怖いまでの意志の強さ(髪切ったのとても良い!!)、藤原バートラムのクズ色男ぶり等、個々の役(役者)の説得力は十分に感じた。特に横田バローレスの緩急あるお芝居、独白シーンは見応えがあった。
でも飲み込めるかはまた別問題で…。そもそも「これもシェイクスピアなんですか」という気持ち(とはいえ全部読破しているわけではないので類似性のある作品もあるのかもしれません)。
ただ、なんでだろう、決して面白くないわけじゃなかった。むしろもう1回観たい。不思議。個々の役の魅力なんですかね。
忠実な舞台化はすごいのだが… ー 新国立劇場「東京ゴッドファーザーズ」
新国で「東京ゴッドファーザーズ」を観た。同アニメの舞台化。
新国立劇場2020/2021シリーズ
人を思うちから 其の弐
「東京ゴッドファーザーズ」
2021年5月18日(火)19:00開演
新国立劇場 小劇場
原作:今敏
上演台本:土屋理敬
演出:藤田俊太郎
出演:松岡昌宏、マキタスポーツ、夏子 / 春海四方、大石継太、新川將人、池田有希子、杉村誠子、周本絵梨香、阿岐之将一、玲央バルトナーwww.nntt.jac.go.jp
セットはただ長い黒の長方形舞台面だけがある囲み舞台(1階は前後、2階が左右で四方を囲むイメージ)。時折、差し込める柵を役者が持ってきてエリアを作ったり、センターにあるせり(というか照明付イントレ?)を上下させ、セットチェンジや高低差のある空間を作りながら進行され、吊モノの半透明なゴミ袋に照明をあてることで、シーンの都市の印象的なスポットを映し出す。
基本は原作アニメに忠実。ただ一応コロナ禍の現在設定で、ソーシャルディスタンスとかフェイスシールドなど2020設定だとわかる要素が所々。これが良い効果をもたらしていたのかは、イマイチわからなかった。
あのアニメを舞台化するだけでもすごいと思う…なのだが、なんせ転換が多い。前記したエリア分けと部分暗転によって、場面進行中の一部転換や2つの場面を同時進行させるなど、テンポ良く進行していったのは間違いない。特に 幸子が自殺を図ろうとするシーンと夫の部屋でのやりとりが上下で同時進行したところなんかは、とても効果的だった。ただどうしても原作に忠実にしようとする必要からか、駆け足で、物語の盛り上がりのカーブ、緩急があまりなかった。物語が少々ネガティブな意味で、あっという間に過ぎ去ってしまった。
松岡昌宏はとにかく舞台で映えますね。美しかった。そして生で聴いても声が良い。もはや映像でなく舞台役者として生きて欲しいです。ミユキ役の夏子も初見だったのですが、堂々としてとても良かったです。
寄りで観るバレエも悪くなかったー【ライブ配信】新国立劇場バレエ団「コッペリア」
緊急事態宣言で中止になってしまった新国コッペリアを観た。
◇視聴回◇
2021年5月8日 (土)14:00開演
振付 ローラン・プティ
音楽 レオ・ドリーブ
スワニルダ 小野絢子
フランツ 渡邊峻郁
コッペリウス 山本隆之
指揮 冨田実里
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
実はプティさんの振付をまともに観るのが(たぶん)初めてで、こんなコミカルな動きがたくさん出てくるのか!と、驚かされた。細かな動きが古典バレエとはだいぶ違うんだろうな、ということがど素人でもなんとなーくわかった。
何より小野絢子さんの表情が良い!!!普段上から俯瞰していることがほとんどなので、ここまで表情豊かに演技されているのだなあと。おちゃめでいたずらっ子でなんて可愛いんだ。これなら寄りで観るのも悪くない。頭の先から足の先まで神経の行き渡った動きに圧倒された…かっこいい…。
曲も良いし、この演目とても好きになってしまった。
バンドネオン2台・・・! ― 東京フィルハーモニー交響楽団 第953回オーチャード定期演奏会
ご縁あってこちらへ。
東京フィルハーモニー交響楽団 第953回オーチャード定期演奏会
2021年5月16日(日)Bunkamuraオーチャードホール
ピアソラ:
シンフォニア・ブエノスアイレス Op. 15*(日本初演)
I. モデラート—アレグレット II. レント:コン・アニマ III. プレスト・マルカート
ソリストアンコール
カルロス・ガルデル(編曲:アストル・ピアソラ)/想いの届く日 "El día que me quieras"
プロコフィエフ:
バレエ音楽『ロメオとジュリエット』組曲より
モンタギュー家とキャピュレット家(第2組曲 第1番)
少女ジュリエット(第2組曲 第2番)
民衆の踊り(第1組曲 第1番)
仮面(第1組曲 第5番)
ロメオとジュリエット(第1組曲 第6番)
ティボルトの死(第1組曲 第7番)
別れの前のロメオとジュリエット(第2組曲 第5番)
修道士ローレンス(第2組曲 第3番)
ジュリエットの墓の前のロメオ(第2組曲 第7番)
ピアソラの初期の頃の作品だというこの曲は、バンドネオン2台!でもそれが主役というわけではなく、あくまで交響曲。オーボエの辺りにいた。
だからこそ、初めて聴くバンドネオンの響きを楽しめた。木管アンサンブルの上にのっかるバンドネオンとか、ホルンのアンサンブルの上にのっかるバンドネオンとか、とても美しい響きながらこれまでまったく聴いたことなかったなぁ。バンドネオンがアンサンブル側に回るとさすがに埋もれてしまった印象だが、所々あるソロで一気にブエノスアイレスへ(?)引き込んでくれる。
しっかし、難しそうな曲。半音階的な動きが多く調性もようわからん現代音楽。いやかっこよかったけど!
だからかな、ロメジュリのサウンドに謎の安心感を覚えた(笑)「モンタギュー家~」と「ティボルトの死」だけ吹奏楽でやったことがあり特に後者は「なんじゃこりゃ~」と思ってたのだが、プロがやるとかっこいい曲…当たり前か。あとなんでも舞曲好きなので、「民衆の踊り」が楽しかったよね。
ソリストアンコールはもう言うまでもなく、良い。蛇腹楽器万歳。
マエストロの違いなどわかる耳は持ち合わせてないが、バッティさんの曲を導いていく姿はとても素敵だった。なんかすごい人なんだな、とは思った。